「またウチの子が人を叩いてしまった」と絶望的な気持ちになられていませんか?
・何もしていない年下の女の子をわざわざ毎回叩きに行ってしまう
・幼稚園でお友達を突き飛ばし、けがをさせてしまった
・おもちゃを貸してもらえないとすぐ相手を噛んだり叩いたりしてしまう



もう外に出るのが嫌になってしまいました。
どうしてこんなことするんだろうと、悲しくなってしまいます。」

相手のお母さんの嫌そうな顔が浮かんで、ウンザリです。」

この子の心は一体どうなっているんだろうと泣きたくなります。」

わが子がよそのお子さんを叩いてしまうとき、理由はどうあれ、本当に困ってしまいますよね。
わたしも、自閉症のわが子がはじめて「何もしていないよその子」を叩きに行くのを見たとき、あまりのショックに呆然としてしまいました。
夫に相談しても「愛情不足じゃないの」とかで片づけられてしまって、二重に落ち込んだり・・・
もちろん、あなたのお子さんが誰かを叩いてしまうのは、愛情不足のせいではありませんよ!

1つ目は、
「相手に何もされていないのに、ただ叩きに行ってしまう」場合。
注意しても、「何を注意されているのかわからない」といった感じです。
もう1つは、
「すぐにカッとなってしまってがまんできず、お友達に手が出てしまう」場合です。
この2つは同じように「衝動的に人を叩いてしまう」という問題に見えます。
しかし、
「どうしてそうなるのか」や「どうしたらいいのか」が実は違います。
以下で詳しく説明していきますね。
いずれにせよ、人に痛いことをしてしまう(他害といいます)子たちはどうしても敬遠されがち。
子供のことで「いつも緊張しっぱなし」「どこでも謝り倒してばかり」では怖くて家の外に出られなくなってしまいます。


「また誰かを叩いてしまうかもしれない」という心配事から離れ、のびのびと人づきあいができるようになれば、とってもラクになりますよね。
そこで今回は、
「発達障害っ子の暴力を止める」方法を「何もしてない相手」「カッとなったときの相手」「親」と3つの相手別に紹介します。
目次
何もしていない相手をただ叩く場合は「反射的なこだわり」になっているから
何もしていない相手をただ叩くというのは、わたしたち大人では考えにくい現象ですよね。
これは、お子さんの中で「人を叩くことが、「ひとつのパターン」「決まった儀式」のようになってしまっているからなんです。
↓
周りの大人に叱られたり、相手が痛いと反応する
↓
おきまりの刺激や反応が得られて「納得」できる
こんな感じです。
この「おきまりの刺激」が「強く叱られる」などの本人にとって嫌な気持ちになるものであっても「落ち着く」のです。
- 朝起きたら歯を磨くこと
- 出かけるときに靴をはくこと
などと同じような感覚で、
- 「特定の相手が視界に入ると突き飛ばしに行くこと」
- 「すれ違いざまに小さな子供を叩いて反応を見ること」
という「反射的なパターン」のひとつになってしまうのです。
これは自閉傾向のある子に限定される振る舞いなので、周囲に理解されにくいです。
ママもこのことを知らないと、ものすごく悲しい気持ちになってしまいます。
時間が解決してくれる問題ですが、何年も悠長に待っていられませんよね。
それでは対策を3つ紹介します。
相手を叩く前に「子供の手を抑えて止める」
お子さんがよその子を叩きそうになったらまずその手を止めましょう。
そしていつも特定の子を狙っていく場合はその子に近づけないようにします。
できるだけ接触する機会を減らし、どうしても同じ空間になければいけないときは目を離さないように見守ります。
スーパーや街中を歩いている時にすれ違いざまにほかの子叩くという場合は
- 「両手に何か持たせておく」
というのも1つの方法です。
その他にも
- 人が多く集まる場所にはいかない
- お腹が空いている、眠たい状態での外出を避ける
などして、できるだけ子供のコンデションを整えておきましょう。
療育機関を利用し、プロから指導してもらう

幼稚園などで「何もしていない相手を叩いて困る」場合は「必ず療育機関とも繋がりを持って」おきましょう。
「療育施設の先生がこういった他害のフォローが非常に上手」だからです。
他害が起きそうなときにうまく接してもらえれば、「人を見る→叩く」というこだわりを上手に崩してくれます。
その他生活スキルもいろいろと身に付けてもらえるので、療育機関は必ずつながりを持っておくようにしましょう。
園の先生にも「理由なく相手を叩きに行ってしまう」特性を伝えておく
園の先生にも、お子さんが「特に理由がなさそうに見えてもこういうタイプの子を叩きに行ってしまう」ということを伝えておきましょう。
発達障害の子にあまり接したことがなければ、こういう特性のせいで手が出てしまうことを知らない先生も実は多いです。
ターゲットが特定の子になっている場合は、なるべくその子と接触させないようにしてもらいましょう。
それから、園の様子も気になるところですが、家にいるママがずーっと見張りについて行くわけにもいきません。
現場のことは先生にお任せし、離れている間は気持ちを切り替えてリフレッシュすることも大事ですよ。
気を付けたいNGポイント「くどくど注意しない」こと
無抵抗の相手を叩きに行くことにショックを受けて「大きな声でくどくど注意する」ことはNGです。
その刺激がよくも悪くも強く印象に残り、また「同じことを繰り返さないといけない」というこだわりになることがあるからです。
また、「叩かれたら〇〇ちゃんは悲しいよ」などという説明も、彼らにはあまりピンとこないです。
できるだけ叩いてしまう前に予防し、叩いてしまったときは本人を刺激しないようにしましょう。
すぐにカッとなって「お友達に手が出る」ときは意思表示をうまく引き出させてあげる

すぐにカッとなって友達に手が出るお子さんたちは「言葉でコミュニケーションを取る」ことが苦手です。
- 「自分にとって大切なことを邪魔された」
- 「自分がしたかったことを止められた」
など怒りがわいている理由を、うまく相手や周りの大人に説明できません。
そこで、カッとなって衝動的に手が出てしまうのです。
また「自分がされたら痛いからやめよう」というような「自分に置き換えて想像する」ことが苦手なお子さんも多いです。
それで「叩いてはいけないということの理解が遅れてしまいがち」になります。
では、対策を3つ見ていきましょう。
理屈がおかしくても子供の言い分を最後まで聞く
興奮している子供があなたに向かって何か訴えてきたら、言っていることがどんなにおかしくてもひとまず話を全部聞いてあげましょう。
無茶苦茶なことを言っていても、「そうだったのね」「おもちゃ欲しかったのね」と共感してあげます。
本当は叩いてしまった本人も「やってしまった」と思ってパニックになっています。
落ち着くことができれば自分が悪かったことをだんだんと認めていくことができます。
絵カードを使った意思表示を子供に教える
言葉で自分の怒りをうまく伝えられないお子さんには「イラストカードを利用して感情を表現」しやすくなる工夫をしてあげましょう。
発達障害の子たちは「絵カードを使うのがすごく得意」です。
具体的な「絵カード」作戦

お子さんのポケットに、小さな「怒りマーク」カードをしのばせておいて、
「誰かを叩きたくなったら、ママにこのカードを見せて知らせてね」
ということを繰り返し伝えます。
すぐには「怒り→ママに知らせる」という流れを習得できないかもしれません。
しかし、徐々にできる回数が増えてくるとお子さんも、
↓
安心する
↓
衝動を落ち着けることができる
ようになってきます。
すると、とっさに暴力で解決しようとしなくなっていきますよ。
人を叩かずに、怒りの気持ちを抑えることができたときには、お子さんをいっぱいいっぱい褒めてあげてくださいね。
他害の衝動が治まるお薬を服用をする
他害の度合いがとても強い場合はお薬を使うことを考えてみましょう。
- 「とがった物を使って攻撃しようとする」
- 「わざと目を狙う」
など大けがにつながってしまうようなケースでは、早めの対策が必要です。
危険性が高い場合は、すぐに専門機関や医師に相談してみましょう。
また「衝動性だけが問題」という場合も、お薬がとてもうまく効いてくれることがあります。
「お子さんの生きづらさをゆるめるため」うまく取り入れられてみてくださいね。
親を叩きだしたら「毅然とその場から離れる」
最後は、叩く相手が「親」であるときの対応策です。
お子さんが癇癪を起こして、親を叩きだした場合はその場を離れましょう。
- トイレに逃げ込む
- 別の部屋に行く
など距離を取ってください。

1つは、「叩かれているときは、親側が冷静な対処がしにくくなる」からです。
カッとなって怒鳴ってしまう、叩き返してしまう、など、子供のパニックをあおってしまうことをしてしまいがちです。
もう1つは、「叩けば欲求が通るという学習をしてほしくない」からです。
叩かれてつい欲求を通してしまうと、次から「叩いてでも思い通りにさせなければならない」というこだわりが、お子さんの中で確立してしまいます。
こうなると、毎回親子でとてもしんどいです。
離れることができないようなシチュエーションであれば、
- 「手を抑えて叩かせないようにする」
- 「人の代わりに別のモノを叩かせる」
などの方法で対応してみてくださいね。
クールダウンできる場所を作っておく
見た目もごちゃごちゃしていない、静かな場所を「クールダウンする場所」として普段からお家の中に1か所作っておくのもおすすめです。
興奮してきた時はお子さんをそこに連れて行って落ち着かせます。
↓
クールダウンする場所に移動する
↓
落ち着いて自分を取り戻せる
という「良い繰り返しが定着する」こともあります。
押し入れや寝室など、一か所どこか決まった場所を用意してあげてみてくださいね。
まとめ

さていかがでしたか?
発達障害のお子さんが人を叩いてしまうというときは相手別に3つの戦略がある。
まず「何もしていない相手を叩く」ときは
- 叩く前に止める、対象から離す
- 療育機関と繋がる
- 園の先生に特性を詳しく伝える
そして「くどくどと注意することはNG」である。
すぐに「カッとなって友達に手が出る」ときは
- おかしくても言い分を最後まで聞く
- カードを使用して意思表示させ約束してあげる
- お薬を使うことを検討する
そして「親への暴力」は毅然とその場を離れる
- クールダウンする場所を普段から作っておく
ということでした。
いざというときのために「個人賠償責任保険」のすすめ
もしものときに備えて「個人責任賠償保険に加入する」のもおすすめです。
個人責任賠償保険とは、「お子さんが誰かに大きな怪我をさせてしまい、損害賠償金を支払う必要が出たときに保障してくれる」保険のことです。
各種クレジットカードや共済の保険などから簡単に加入することができます。
月額も200円未満ほどのリーズナブルな設定が多いです。
ひとつ不安を解消するために、ぜひ検討してみてくださいね。

発達特性の大きさに限らず「血糖値の乱降下はイライラや衝動性を高める」という性質があります。
甘いジュースやお菓子を減らしていくのも「落ち着きが出る」のに効果バツグンですよ。

幼いうちは「人の気持ちに共感すること」が苦手で、なかなか注意が届かないお子さんも必ず成長します。
そして、暴力に頼らずに人付き合いができることようになれば「言葉のコミュニケーション力」もぐーんと伸びていきます。
そうなれば、外出や外遊びもうんとしやすくなり、もっともっと楽しい世界へ出ていくことができますよ。
お子さんがお友達と仲良く人間関係を作っていけるようになりますように。
あとひといき、いっしょに頑張りましょう。
それでは今回はこのあたりで。ありがとうございました。
キレやすい、衝動性が強い、癇癪を起こす、じっとしていられない・・・
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いま増えています!気を付けてください。
ちょっと目を離した隙にたたくので、ヒヤヒヤしっぱなしです。」